放射線部
放射線部には“診療放射線技師”の国家資格を持つ医療分野で放射線を取り扱うプロフェッショナルが所属し、放射線や磁力を利用した画像診断や放射線治療の業務にあたっています。
私たちは安全で精度の高い検査を、安心して受けていただくために、日常より機器の管理、放射線被ばくなどの安全管理に努めるとともに“思いやり”の気持ちを大切にし、あたたかいサービスを目指しています。また、目覚ましい発展を続ける放射線医療の中で、最新の知識、技術の習得に積極的に取り組み、高いレベルの情報提供に努めています。 放射線部では近隣の医療機関(登録医)と連携し、高度医療機器の共同利用を推進しています。CT検査、MRI検査、マンモグラフィ等の放射線検査については紹介専用枠を設けており、2017年度実績では月平均でCT検査は約300人、MRI検査は約400人の患者様を開業医の先生から紹介頂いています。患者様はかかりつけのクリニックで医師の診断を受け、検査のみ当院で受けることができます。
一般撮影検査
一般撮影とは
胸部・腹部・脊椎・骨などの撮影を総称して『一般撮影』といいます。胸部撮影や骨の撮影など病変や骨折などを診断するために、いろいろな方向から撮影をして診断に役立てます。
一般撮影を受ける注意点
・服やボタン、金属類(ネックレス,ブラジャー等)は写真に写り、病変と間違えたり、見逃してしまったりする可能性があります。 ・検査部位に対し担当の放射線技師が説明致します、検査着に着替えをお願いする場合がありますのでご協力お願い
します。 ・妊娠している方、妊娠している可能性のある方は検査をしないことがあります。医師や放射線技師にご相談下さい。
一般撮影装置
当院では、CRシステムに加えFPDを導入することにより被曝軽減を行い、フィルムレス化に伴い迅速に画像情報を提供しています。X線を身体に照射して、透過したX線量をIP(イメージングプレート)やFPD(フラットパネル)の検出器で記録し画像化します
マンモグラフィ検査
マンモグラフィとは、乳腺・乳房のX線検査のことです。軟部組織である乳房は専用の撮影装置を用いて撮影します。乳腺を広げて病変を見やすくするため、撮影は乳房を圧迫して行います。また、圧迫することによって、被ばく線量が少なくなり、動きによるボケも防止できます。撮影に際し多少の痛みが生じますが、痛みの感じ方は人によって異なります。リラックスすることによって痛みは緩和されることもありますので、ご協力をお願い致します。我慢できないような痛みが生じた場合は、遠慮なく担当者にお申し出ください。
マンモグラフィを受ける際の注意点
ペースメーカー,CVリザーバー,VPシャントなどを留置されている方、豊胸手術を受けたことがある方は撮影前に必ず担当技師にお申し出ください
当院の体制
マンモグラフィ精度管理中央委員会の認定を受けた診療放射線技師が精度管理を行い、施設認定を所得しています。撮影は女性の診療放射線技師が担当し、読影は認定を受けた医師が行っています。
骨密度測定
当院では、米国ホロジック社の骨密度測定装置Explorerにより、正確かつ安全に骨粗鬆症(コツソショウショウ)の診断を行うことができます。骨粗鬆症関連骨折の好発部位である、腰椎、大腿骨の骨密度を測定することが診断上重要であり、骨粗鬆症治療薬の選択や効果判定にも極めて有用です。
Explorer X線骨密度測定装置の特長
- 着衣のまま仰向けにベッドに横になるだけで、痛みもなく簡単に測定できます。
- 極めて少ないX線を利用しています。
- 検査時間は腰椎 約5分、大腿骨 約5分、全身骨 約10分程度です。
- 検査データは保存されますので、定期的な検査で正確な診断が行えます。
測定部位
- 腰椎
- 大腿骨
- 前腕
- 全身骨(脂肪量、体脂肪率、筋肉相当量などの体組成の測定)
X線透視検査
X線透視検査について
TV検査では、X線を使用して体内を透視することによって体内の病変を描出することが出来ます。胃、大腸、食道などの消化管バリウム検査や内視鏡を併用し肝臓、胆のうに対する検査、治療などを行っています。
検査時の注意点
TV室の検査ではX線を出しながら検査をするため湿布、プラスチックのボタン、金属のついた下着がありますと診断の妨げになる場合があるためTV検査を受けられる方は検査着に着替えていただくことになっています。ご協力お願いいたします。
※ 妊娠中の方、妊娠の可能性のある方は事前にお知らせ下さい。
検査時間は検査内容によって異なります。主な検査を下記に示します。
・胃のバリウム検査 20分程度
・大腸のバリウム検査 30分程度
・肝臓、胆のうなどの内視鏡検査 30~60分程度
・気管支肺生検 30分程度
大腸の検査 胆管の検査
検査の流れ
胃のバリウム検査(健診)を例に検査の流れを説明します。
①始めに胃を膨らませる働きのある薬(発泡剤)を飲んで頂きます。
②バリウムを飲んでもらい食道、胃全体の形を観察します。
③胃の内壁を撮影します。
④検査台の上で体の向きを変えながら色々な角度で撮影します。
⑤最後に専用の機械で胃を圧迫しながら胃のひだの撮影をします。
この検査以外にも様々なTV検査を行っております。
血管撮影検査
血管撮影検査について
血管撮影検査とは、足の付け根や肘・手首からカテーテルという細い管を血管に挿入し、そこから目的の部位まで進めて行き、造影剤を流して、血管の形態や走行・臓器や腫瘍等の状態を見て診断をする検査です。CTやMRIでも血管を観察することは可能になりましたが、血管造影検査が最も詳細に血管と血流動態を観察できる検査です。近年では診断だけではなく、血管内治療(Interventional radiology:IVR)も行われています。
当院ではFPD(フラットパネル検出器)搭載装置が導入されています。このFPDにより、高精細で歪みのないデジタル画像を得る事が出来ます。その他、血管内治療時の補助をする血管内超音波(IVUS)を備えています。
当院で行われている主な検査
心臓カテーテル検査
心臓を栄養する血管を冠状動脈といいます。冠状動脈が何かの原因で狭くなったり(狭窄)、詰ったり(閉塞)する事によっておこる狭心症や、心筋梗塞の診断及び治療を行っています。
腹部血管造影
主に肝臓の腫瘍の治療を目的に検査を行います。肝臓の動脈を造影する事で腫瘍を栄養する血管を調べ、薬剤の注入や微細なスポンジ状の塞栓物質で血管を詰めて治療を行います。
脳血管造影
脳や頚部の動脈の狭窄・閉塞や動脈瘤の診断及び治療を行っています。
その他に下肢の血管に異常をきたす閉塞性動脈硬化症などの治療も行われています。
その他に下肢の血管に異常をきたす閉塞性動脈硬化症などの治療も行われています。
アイソトープ(RI)検査
アイソトープ検査について
アイソトープ検査は核医学検査とも呼ばれ、ガンマ線という放射線を放出する放射性同位元素(RadioIsotope)を含んでいる医薬品(放射性医薬品)を用いた検査です。
放射性医薬品には目的の検査部位などによっていくつかの種類がありますが主に液体でごく少量を腕の静脈から注射します。
ほとんどの検査では、検査用ベッドに20~30分間静かに横になっているだけで撮影は終了してしまうので苦痛の少ない検査です。
撮影中はガンマカメラという専用の装置が体の中から放出される放射線を信号として検出し臓器や病変部を画像化して体の内部を調べます。
放射性医薬品にはそれ自身が時間とともに放射線を出す能力が減っていき、薬そのものも尿や便によって排泄されるため、体内に入った放射性医薬品は早いものでは数時間で、遅いものでも数日で信号(放射線)が弱くなり、やがてなくなってしまいます。検査で受ける放射線の量は、通常のCT検査や胃のX線検査と同じくらいかそれ以下ですので、身体への影響については特に心配の必要はありません。
CT検査
CTとは(Computed Tomography)の略称で、X線やコンピューターを利用して身体内部の臓器などを画像化する検査です。
身体の輪切り像や立体的な3D画像、4D画像を作成することもできます。
320列マルチスライスCTの特長
2018年9月、最新鋭のマルチスライスCT装置が導入されました。
一番の特長は、世界一広範囲の撮影を可能とする320列面検出器を搭載している事です。
従来のマルチスライスCT装置に比べ、検査時間が飛躍的に速く、例えば心臓の血管(冠動脈)は最短0.35秒で撮影する事が可能です。しかも、造影剤の量や放射線被曝も半減できますので、患者様の負担が圧倒的に少ない検査を実現いたします。
検査内容
頭部
頭部打撲や頭痛、その他の神経症状があるとき、頭の中に異常がないかを検査します。
脳出血は簡単に見つけ出すことができます。また、造影剤を使って検査することで、クモ膜下出血を引き起こす脳動脈瘤を発見することもできます。
検査時間は10分程度です。造影剤を使用した場合の検査時間は20分程度です。
胸部
胸部X線撮影(胸部レントゲン写真)で異常が発見されたり咳などの症状があるときに、肺や縦隔に病気がないかを検査します。
肺がんや肺炎の検査には、他の検査法とくらべ非常に有効です。また造影剤を使うと、解離性大動脈瘤や肺塞栓の診断も可能です。
検査時間は10分程度です。造影剤を使用した場合の検査時間は20分程度です。
腹部
腹痛や、腹部超音波検査・血液検査で異常が発見された時、腹部の臓器に病気がないかを調べます。
肝臓がん、胆石、すい臓がん、腎結石、尿管結石、虫垂炎(盲腸)、腹部大動脈瘤などの診断には有効です
検査時間は10分程度です。造影剤を使用した場合の検査時間は20分程度です。
心臓
心筋梗塞の原因となる冠状動脈の狭窄を発見できます。現在では冠状動脈の治療後は心臓CTで経過観察する施設も多くなっています。当院においても入院をせず外来の当日検査で心臓の評価を行っています。
検査時間は20分程度です。
大腸
大腸を炭酸ガスの注入によって拡張させマルチスライスCT装置を用いて撮影することで、大腸の3次元画像を簡単に得ることができます。内視鏡検査と比較して、苦痛が少なく大腸を検査する事が可能です。
検査時間は20分程度です。
整形
微細な骨折の診断やレントゲンでは見えない骨折を多方向から観察が可能です。
検査時間は10分程度です。造影剤を使用した場合の検査時間は20分程度です。
造影剤について
CT検査では、造影剤という薬剤を静脈注射して検査することがあります。
造影剤を使用することにより、見えなかった病変が発見されたり、病巣部がより鮮明に表現されます。
造影剤は尿と共に排泄されますので、検査終了後は水分を十分お取りください。
注意事項
頭部CT
ヘアピンやイヤリング、ピアスなどの金属類は検査時に外して頂きます。
補聴器は、検査の時に言って頂ければ説明いたします。
鼻周囲の検査の時には、入れ歯をはずして頂くこともあります。
頭部のみ検査の場合は食事をして来て頂いても構いません。
胸部CT
ネックレスや金属の付いた衣服(ブラジャーなども含む)は検査時にはずして頂きます。
胸部のみ検査の場合は、食事をして来て頂いても構いません。
腹部CT
金属の付いた衣服(ブラジャーなども含む)は検査時にはずして頂きます。
ズボンやスカートに金属が付いている場合、検査時に少し下ろして頂くことがあります。
腹部CTでは食事を抜いて検査しますので、午前中の検査では朝食を、午後の検査では昼食を抜いてお越しください。
水やお茶はとって頂いて構いません。
お薬について
普段から服用されているお薬がある場合は、あらかじめ担当医師にご相談・ご確認をお願いいたします。
特に指示のない場合は、通常通り服用していただいて結構です。
予約枠
平日 | 平日 8:30~17:00 |
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土曜日 | 土曜日 8:30~12:00 |
※緊急の検査にも対応いたします。
MRI検査
MRI検査とは?
MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断装置)は磁場と電磁波を利用して 検査する為、放射線による被ばくがなく体にも優しい検査です。 また体の内部を異なった条件で画像化する事により、病気の質や広がりを診断する事ができます。
装置の特長
- 開口部が広く閉塞感を与えない構造です。
- 高速撮像により検査時間は約10分です。
- 呼吸同期システムにより自然呼吸下で腹部検査が可能です。
主な検査部位
頭部、頭部の血管、頚部、脊椎、四肢の関節、下肢の血管、肝臓、膵臓、腎 臓、膀胱、前立腺、子宮、卵巣
MRI検査に注意が必要な方
以下の方は検査が受けられません
体内にペースメーカー・人工内耳・金属製の人工心臓弁・刺激電極などの電子機器が入っている方
以下の方は検査が受けられない場合があります
体内に脳動脈クリップ・ステントなど金属類がある方
閉所恐怖症など狭い所が苦手な方
妊娠3ヶ月以内の方(又は妊娠が疑わしい方)
検査時の服装について
検査は基本的に検査着に着替えて行いますので普段着のままで来院して頂いて結構です。
また貴重品などは鍵の付いたロッカーにしまっていただきます
(持ち込み厳禁なものの例)
眼鏡、ピアス、イアリング。ネックレス、ヘアピン、腕時計、鍵、入れ歯、携帯電話、磁気カード、エレキバン、カイロ、補聴器、カラーコンタクトレンズ、マスカラなどの磁性体の含まれている化粧品等
予約枠
平日 | 8:30~19:00 |
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土曜日 | 8:30~17:00 |
検査項目によっては時間枠に制限がある場合があります
放射線治療
放射線治療装置とは
放射線治療装置(リニアック)は、X線や電子線などの放射線を使って、がんを治療する装置です。 CT等の画像診断装置と同じ放射線を使用していますが、エネルギーを強くすることで、治療効果をもたらします。 この装置は4MVと10MVのX線及び5、7、10、12、14、15MeVの電子線が使用可能で、病変の部位や大きさにより 適切な放射線を選択して治療を行います。
放射線治療とは
がんの治療法には手術、化学療法、放射線療法があり、放射線治療は、がん治療の三本柱の一つとして 重要な役目を担っています。がんを治癒することを目的とした根治治療が、手術や化学療法とを併用、 もしくは単独で行われます。また、痛みなどの不快な症状をとる対症療法としても治療が行われます。 放射線治療は手術と同じ局所療法ですが、組織の形態や機能を温存できるという特徴を持っています。 近年、放射線治療機器や治療技術の進歩で、放射線治療の成績が向上し放射線治療を受ける患者様が増加しています。
対象疾患
当院は脳腫瘍、咽頭がん、乳がん、肺がん、食道がん、すい臓がん、子宮頸がん、前立腺がん、骨転移などの 治療が放射線治療単独もしくは手術や化学療法を併用して行われています。