クリティカルパスについて
クリティカルパスとは
「クリティカルパス」は、患者様が入院中に受ける検査や手術、治療の予定、手術後のリハビリなどを、わかりやすい絵文字などを使い表にまとめた「治療計画書」のことです。患者様に事前にお渡しし、説明することで入院から退院までの経過が理解しやすくなり、満足度も向上すると考えられています。
クリティカルパス導入による効果
- 入院から退院までの治療過程がわかるため、自己管理がしやすく、安心であり、自ら積極的に治療に参加できる。
- 適切な治療を適切な時期に受けられる。
- 医師による治療方針のばらつきや、看護師による説明のばらつきがなくなる。
- 診療情報を医療スタッフが共有できるため、患者様やスタッフ間のコミュニケーションがとりやすくなり、治療が円滑になる。
名古屋記念病院での取り組み
当院では、1997年9月にピアレビューセンターを設立し、院内において医療の質を検討する活動が開始された。そのなかで、医療の質的向上を図るための対策として、1998年当センターのもとにクリティカルパス作業部会が設立され活動している。
クリティカルパス作業部会の活動
【委員構成】
委員長1名 医局2名 看護部2名 情報処理部1名 医療社会事業相談室1名 薬剤部1名 臨床検査部1名 臨床栄養科1名 医事課1名 理学療法科1名 オブザーバー1名
【名古屋記念病院のクリティカルパス実施の手順】
- 診療科と部会による疾患の選別
- 診療科と担当部所(コメディカルを含む)による原案の作成
- 事務局によるクリティカルパスの基本フォーマットの作成
- 院内全職員対象によるCP検討会の実施
- 検討会での検証内容の修正と承認
- パスの実施
- パス作業部会委員によるバリアンス分析とパスの修正
クリティカルパスに関する専門用語
バリアンス
治療の過程において予定通り進まない状態。退院が延長、短縮したり継続が不可能となること。要因としては患者様側(病態の急変等)、病院側(機器のトラブル等)社会的要因(縁起の良い日に退院等)などがある。
アウトカム
パスにおいて患者様が良好な治療経過をたどるようにたてられる治療目標
1日ごとのアウトカムや退院目標のアウトカムなどがある。
CI (クリニカルインディケーター)
実際に行われている医療の経過や結果の意義ある項目を指標(クリニカルインディケーター)として設定する。その指標によりその病院で行われる医療の質を評価しようとするもの。
地域連携パス
近年、医療環境の変化により、急性期(手術など)、回復期(リハビリなど)、維持期(開業医への通院)、そして介護施設など、施設の機能分化が進められるようになった。
1つの病院で治療が完結せず、地域の施設間で連携をとり、その施設の特性にあった医療サービスが提供できるように、施設を超えた一貫した診療計画が地域連携パスである。
平成18年4月〜大腿骨頚部骨折術の地域連携パスが、診療報酬で認められた。
名古屋記念病院では、現在近隣の9つの連携病院と地域連携パスを運用している。
EBM (Evidance Based Medicine)
直訳すると、「科学的根拠に基づいた医療」
患者様への医療判断の決定に現時点での科学的方法で確かめられた最新、最良の根拠(エビデンス)を、誠実に、思慮深く実践する医療を意味する。
現在当院で行われているクリティカルパス
- 成人ソケイヘルニア
- 糖尿病教育入院
- 大腸内視鏡検査
- 顔面神経麻痺(Bell's pasly)
- ペースメーカー埋め込み術
- 子宮摘出術
- 鼻中隔彎曲症・アレルギー性鼻炎(肥厚性鼻炎)
- 白内障
- 乳癌術後
- 前立腺肥大症・経尿道的切除術
- 体外衝撃波結石破砕術(ESWL)
- 腹腔鏡下胆嚢摘出術(ラパコレ)
- 大腿骨頚部(内側)骨折
- 内視鏡的膵胆管造影(ERCP)検査
- 心臓カテーテル検査
- 腰椎圧迫骨折
- 前立腺針生検検査
- 分娩・産褥
- 帝王切開(C/S)新生児
- 気管支鏡検査(TBLB)
- 関節鏡
- 前立腺癌・前立腺全摘術
- 腎癌・根治的腎摘出術(開放手術)
- 経尿道的膀胱腫瘍切除術
- 慢性硬膜下血腫・穿頭洗浄ドレナージ術
- 甲状腺葉切除術
- 附属器腫瘍・附属器摘出術
- 腎生検
- 透析導入における指導
- 小児口蓋扁桃摘出術
- 小児そけいヘルニア
- ルミウムレーザー前立腺核出術(HOLEP)
ホルミウムレーザー前立腺蒸散術(HOLAP) - 経尿道的結石破砕術
- 睡眠時無呼吸症候群
- 胃切除術
- FOLFOX z
- 甲状腺全摘術
- 局所麻酔乳癌術後
- C型慢性肝炎のペグイントロン/レベトール療法
- C型慢性肝炎のペガシス療法
- 地域連携パス 大腿骨頚部骨折 《人工骨頭置換術》《骨接合術》