名古屋記念病院 ─Nagoya Memorial Hospital─

薬剤科

薬剤科業務

新築移転を機に、外来は院外処方となったため、現在は入院患者さんの薬の調剤と、病棟における薬物療法の支援が業務の中心となっています。日本医療機能評価機構の認定制度発足当初より認定を継続していることもあり、業務全般にわたり、機構が求める評価基準をクリアしてきています。

1.調剤業務

当院ではオーダリングシステムが導入されており、過去にアレルギー・副作用のあった薬や、重複した薬が処方されないようにコンピュータが自動的にチェックしています。薬袋の印刷や薬の分包も同システムと連動した機器により自動的に行っています。処方せんが発行された後も必ず薬剤師の目でチェックし、疑問点や不備がある場合は医師に確認した上で調剤をしています。
処方される薬の約半数は腎臓から排泄されるため、腎臓の働きの悪い人はこれらの薬の投与量を調節したり、他の薬に変更したりする必要があります。処方せんへの検査値印字は今では多くの施設で導入されていますが、当院では10年以上前より、処方せんに腎機能(eGFR値)を印字しており、慢性腎臓病(CKD)患者さんに対する安全かつ適切な薬物療法が実施されるよう努めてきています(現在は入院の処方せんのみ印字)。
注射薬は入院中に使用するものは、患者さん毎かつ施用単位毎に注射用のカートにセットしています。病気などで食事が摂れない患者さんに中心静脈から栄養補給を行う「高カロリー輸液」は薬剤科内に設置されたクリーンベンチで無菌的に調製しています。

2.医薬品情報業務

重大な副作用の情報や新しい薬の採用情報などを院内職員に配信しています。そして、薬の飲み合わせや混合が不適な注射薬の組み合わせなどの情報も適宜提供しています。特に飲み合わせについては、国内外の文献から得た情報も参考にして、薬の説明書(添付文書)における併用禁忌記載の有無に関わらず、併用を避けるべきと判断した組み合わせは、前述のオーダリングシステム上で警告・エラーが出るように設定しています。
職員が閲覧する院内医薬品集は、年に1回更新しており、用法用量については、通常の用量に加え、腎機能別の投与量も記載しています。

3.病棟業務

各病棟のスタッフステーションに薬剤師のデスクがあり、病棟薬剤業務・薬剤管理指導業務を行っています。
患者さんが入院されると、まず持参された薬をお預かりし、適切な投与量・投与方法であるか、飲み合わせの問題がないか等をチェックして、問題があれば医師に確認をします。
患者さんとの面談では今までのアレルギー・副作用のご経験の有無から、服薬状況、健康食品・サプリメント摂取についてなどをお尋ねし、患者さんのこれまでの薬との関わりを把握し、医師・看護師と情報共有しています。
薬が処方された際には処方せんに加え、カルテ、検査値などを確認し、内容が患者さんにとって適切であるかを確認してから調剤をしています。そして新しい薬の服用開始時、投与量・投与方法が変わった時などは医師・看護師とともに患者さんに適宜説明をし、治療経過を確認する際にも患者さんのベッドサイドにお伺いしています。薬の効果の評価や副作用の発見は検査値だけではなく患者さんとの会話から得られることも少なくありません。このように私たちは、患者さんとの会話を大切にし、“薬”を通じて、入院から退院まで患者さんに適切で安心な医療が提供できるよう努めています。
当院ではCKD教育入院および糖尿病教育入院にも取り組んでおり、薬剤師として、前者では腎臓の働きとそれを補う薬について、後者では血糖コントロールの重要性や低血糖時の対応などを中心に、患者さん(ご家族の方の同席も可能)に当院独自の資料を用いて説明しています。

4.チーム医療

チーム医療への参画の一環として、多職種で構成されている様々なチームに参加しています。

① ICT(感染対策チーム)

院内感染防止目的で、定期的に院内をラウンドし、環境面のチェックや、消毒薬の使用状況を調査しています。手指消毒薬については使用量だけではなく、適切なタイミングで手指衛生が行われているかをスタッフ個人レベルで観察をし、必要があれば指導をしています。

② NST(栄養サポートチーム)

週に1回、低栄養状態の患者さんをスクリーニングし、介入対象患者さんを評価し、対応策などを医師に情報提供しています。薬剤師の立場からは、栄養状態に応じた、経腸・経静脈栄養の処方提案、高カロリー輸液メニューの組み立てのサポートを行っています。

③ 褥瘡・創傷対策チーム

週に1回、褥瘡患者さんの回診ラウンドを行い、創部の経過、湿潤状況、感染の有無などから、適切な薬剤および被覆材を選択し、医師に提案しています。

④ 転倒転落防止チーム

転倒リスクの高い患者さんについて、ラウンドを行い、環境面などのチェックを行っています。薬剤師としては向精神薬など転倒リスクが高い薬剤、そして抗血小板薬など転倒時に重篤な転帰に至る可能性のある薬剤をチェックして、処方変更の提案などを行っています。

学会発表・論文投稿・講演

薬剤師の業務成果について院外へ発信し、医療業界の発展に貢献しています。以下のリンクより、当院の学会発表・論文投稿・講演の実績が閲覧できます。

学会発表の実績:(PDFダウンロード)PDF

論文投稿の実績:(PDFダウンロード)PDF

講演の実績:(PDFダウンロード)PDF

資格・認定薬剤師

各職能団体が認定した資格、認定薬剤師の人材育成に力を入れています。これらの資格・認定の取得を通じて、個々の薬剤師のスキルアップを図り、患者さんにより質の高い薬物治療の提供ができるよう努めています。当院は日本医療薬学会の「認定薬剤師制度研修施設」に指定されています。

認定資格一覧(2018年10月現在)
日本病院薬剤師会 日病薬病院薬学認定薬剤師 2名
日本医療薬学会 指導薬剤師 1名
日本医療薬学会 認定薬剤師 2名
日本薬剤師研修センター 研修認定薬剤師 1名
日本医療情報学会 医療情報技師 1名